一般社団法人 日本内視鏡外科学会

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日本内視鏡外科学会学術集会への演題応募における倫理的手続きに関する指針

最終更新日:2021年12月15日

日本内視鏡外科学会学術集会への演題応募における倫理的手続きに関する指針

I. はじめに

一般社団法人日本内視鏡外科学会の学術集会で発表される医学系研究は,研究対象者の尊厳と人権を守り,「ヘルシンキ宣言」1)に規定された倫理的原則を尊重し,「個人情報保護法」2),「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」3),「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」3),「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)」4),「臨床研究法」5),「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」6),および関連するその他の法律,政令,省令,指針,通知等を遵守して行われなければならない.また人を対象としない研究については「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」7),「ライフサイエンスにおける生命倫理に関する取り組み」8)あるいは「ライフサイエンスにおける安全に関する取り組み」9)および関連するその他の法律,政令,省令,指針および通知等を遵守して行われなければならない.ここに示す「日本内視鏡外科学会学術集会への演題応募における倫理的手続きに関する指針」(以下,本指針)は,これらの宣言・法令・指針等に基づいて作成されたものである.日本内視鏡外科学会の会員は,日本内視鏡外科学会学術集会へ演題を応募する際には本指針を遵守することが求められる.ただし,本指針は,個々の会員の自由な研究活動に制限や拘束を加えるためのものではなく,あくまで研究者が研究対象者の保護を最優先に考え,法令・指針等を逸脱することなく幅広い研究活動を行うための規範である.本指針において記述した具体例は,会員の理解を助けることを目的として典型的なものを示したものである.全ての事案が網羅されているわけではなく,研究内容によっては別途考慮すべき要素があり得ることに留意し,個々の研究内容に応じた適切な対応を行う必要がある.なお,本指針は原著,症例報告を応募する際の倫理的手続きに関するものであり,公表済み論文から引用された記述・資料のみを使用した総説形式の演題や講演は本指針の対象外である.

本指針では応募演題を,必要な倫理的手続きに応じて図1と2に記述したA,B,C,D1,D2の5つのカテゴリーに分類した(図1).図2のフローチャートにより研究内容がいずれのカテゴリーに分類されるかが確認できる.「倫理審査やインフォームド・コンセントが原則不要な研究」を,本指針ではカテゴリーDに分類した.ひとつの演題が複数のカテゴリーに属する研究を含む場合には,該当するそれぞれのカテゴリーが求める手続きをすべて行っていなくてはならない.なお,いずれのカテゴリーの研究においても,学術集会での発表に症例の提示が含まれる場合には,使用する画像,動画などの診療情報の個人情報保護に十分留意することが求められる.

以下に,演題提出前に講ずるべき手続きをカテゴリー分類に沿って説明する.

II. 特定臨床研究・治験 【カテゴリーA】

1. 「特定臨床研究」に相当する研究の場合には,「臨床研究法」5)が求める対応(モニタリング・監査の実施,利益相反の管理等の実施基準の遵守,インフォームド・コンセントの取得,個人情報の保護,記録の保存等)が必須で,厚生労働大臣の認定を受けた認定臨床研究審査委員会の意見を聴いた上で,実施計画を厚生労働大臣に提出することが義務付けられている.
2. 治験の場合には,「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」6)に基づき実施された研究であること.

III. ヒトES 細胞,ヒトiPS 細胞,ヒト組織幹細胞を利用した基礎研究 / 再生医療に関係した臨床研究あるいはヒトの遺伝子治療に関する研究 【カテゴリーB】

1. ヒトES細胞,ヒトiPS細胞,ヒト組織幹細胞を利用した研究の場合には,基礎研究,再生医療に関係した臨床研究のいずれにおいても厚生労働省ホームページの「再生医療について」4)を参照し,各機関での適切な対応の下に実施された研究であること.
2. ヒトの遺伝子治療に関する研究の場合には「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」3)を参照し,各機関での適切な対応の下に実施された研究であること.なお,「特定臨床研究」に相当する研究の場合には,「臨床研究法」5)が求める対応が必要となる.

IV. 生命科学・医学系研究の倫理指針に基づく研究 【カテゴリーC】

1.「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」3)を遵守し実施された研究であること.廃止前の「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」,「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」,「疫学研究に関する倫理指針」,「臨床研究に関する倫理指針」の規定により実施中,または終了した研究についても,このカテゴリーを選択すること.
2. 研究責任者は,研究の実施の適否について,倫理審査委員会の意見を聴かなければならない。また,実施においては,「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」を遵守する.
3. 聞き取り調査やアンケート調査等で,心的外傷に触れる質問項目が行われる場合は侵襲とみなされるので注意を要する.
4. 介入を行う研究については,研究の実施に先立って,厚生労働省が整備するjRCT(Japan Registry of Clinical Trials)や大学病院医療情報ネットワーク研究センター臨床試験登録システム(UMIN-CTR)の公開データベースに登録しておく必要がある.それ以外の観察研究などの研究についても当該研究の概要をその研究の実施に先立って公開データベースに登録するよう努めること.

V.  倫理審査やインフォームド・コンセントが原則不要な研究 【カテゴリーD1】

1. 診療目的で行った9例以下の個別の症例をまとめた報告は「症例報告」とする. 「症例報告」についての詳細については「Ⅵ. 症例報告」の項を参照のこと.
2. 法令の規定により実施される研究:都道府県単位や全国規模の「がん登録事業」,「感染症発生動向調査」,「国民健康・栄養調査」など.
3. 法令の定める基準の適用範囲に含まれる研究:「省令」等によって規定されている研究.
4. 試料・情報のうち,次に掲げるもののみを用いる研究.
1) 既に学術的な価値が定まり,研究用として広く利用され,かつ,一般に入手可能な試料や情報(論文,データベースとして広く公表されているデータやガイドライン等)を用いた研究.
2) 既に匿名化(特定の個人を識別することができないものであって,対応表が作成されていないものに限る)されている情報のみを扱う研究.

VI. 「症例報告」について 【一般にはカテゴリーD1】

症例報告では個人情報保護法および関連法令等を遵守しなければならない.本学会指針においては,研究を目的とする行為を伴わない9例以下の個別の症例について報告する場合は,いわゆる症例報告の範疇とし,「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」3)の適用範囲外【カテゴリーD1】とする.ただし,各機関の倫理委員会の判断が優先され,必要に応じて適切な手続きをとる.「侵襲」や「介入」等,研究を目的とする行為を伴う場合は,9例以下であっても「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」3)の適用範囲内となる【カテゴリーA〜C】.高難度新規医療技術・未承認新規医療品等による医療10)の提供が行われた場合の症例報告においては,それぞれ適切な手続きを講じる必要がある.

1. 患者個人の特定可能な氏名,入院番号,イニシャルまたは「呼び名」を含めて「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に記されている「個人情報」,「個人情報等」および「個人識別符号」は記載しない. 例えば下記の点について留意する.
1) 患者の住所は記載しない.ただし,疾患の発生場所が病態等に関与する場合は区域までに限定して記載することを可とする.(神奈川県,横浜市など).
2) 日付は,臨床経過を知る上で必要となることが多いので,個人が特定できないと判断される場合は年月までを記載してよい.
3) 他の情報と診療科名を照合することにより患者が特定され得る場合,診療科名は記載しない.
4) 既に他院などで診断・治療を受けている場合,その機関名ならびに所在地を記載しない.ただし,救急医療などで搬送元の記載が不可欠の場合はこの限りではない.
5) 顔写真を提示する際には目を隠す.眼疾患の場合は,顔全体が分からないよう眼球のみの拡大写真とする.
6) 症例を特定できる生検,剖検,画像情報に含まれる番号などは削除する.
2. 以上の配慮をしても個人が特定化される可能性のある場合は,発表に関する同意を研究対象者(患者)あるいはその代諾者から得るか,倫理委員会または機関で症例報告の適切性を判断する委員会で倫理指針の趣旨への適合性の審査を受けて機関長の許可を得る.【カテゴリーCに準じる】
3. 研究を目的とした行為 (侵襲(軽微な侵襲を含む)や介入)を伴う症例報告の場合には,倫理委員会あるいはそれに準じた諮問委員会の審査に基づく機関長の許可と,研究対象者あるいはその代諾者から文書による同意を得るなど,カテゴリーCとしての手続きが求められる.【カテゴリーC】
4. 研究目的で取得した個人識別符号に該当するゲノムデータを伴う症例報告では「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」3) による規定を遵守する【カテゴリーC】. ただし,既に診療として実施されている遺伝子解析等について,9例以下の個別の症例としてまとめて報告する場合は,「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の範疇に含まない.【カテゴリーD1】
5. 高難度新規医療技術・未承認新規医療品等による医療の提供にあたっては,厚生労働科学特別研究班「高難度新規医療技術の導入プロセスにかかる診療ガイドライン等の評価・向上に関する研究班」により「高難度新規医療技術の導入に当たっての医療安全に関する基本的な考え方」10)が作成されている.これらに該当する場合には,研究を目的としない症例報告においても各機関の方針に則った手続きが行われていることが求められる.

VII.  人を対象としない研究 【カテゴリーD2】

1. 人(患者など)を対象としない研究には,動物実験や遺伝子組み換え実験に関係する研究と,医療社会学的研究,医療および研究倫理,医療安全,医工連携,教育,災害対策,研究デザイン策定などの行政やシステムに関係する研究などで研究対象者が存在しない場合があり,これらの研究は倫理審査やインフォームド・コンセントの取得の対象とならない.
2. 動物実験や遺伝子組み換え実験については,「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針」7),「ライフサイエンスにおける生命倫理に関する取り組み」8)および「ライフサイエンスにおける安全に関する取り組み」9)を参照し,各機関での適切な対応の下に実施された研究であることが求められる.
3. 社会学分野や工学分野等の研究で,健康増進や疾病からの回復,生活の質の向上等に関わる目的を有しないものは「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」3)の適用範囲外【カテゴリーD】であるが,これらの研究においても聞き取り調査やアンケート調査等が行われる場合には,保護の対象となる研究対象者が存在するので,カテゴリーCの手続きが求められることがある. また,演題の発表に際して症例提示が含まれる場合には,「Ⅵ.「症例報告」について」の記載に準じた対応が必要である.
4. 研究対象に患者さん等を含まず,人以外の手術器具や診断装置など、医療器具を対象とする場合,また医療従事者を対象とする研究については,このカテゴリーを選択すること.ただし,研究対象者である医療従事者に身体的・精神的負担等が生じる可能性や研究対象者の個人情報が含まれる可能性があることから、倫理委員会の判断により倫理審査が必要と判断される場合がある.

VIII. 日本国外で実施される研究における倫理的手続き

1. 日本国外で実施される研究(海外の研究機関と共同して研究を実施する場合を含む)にも「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」3)が適用となる.ただし,実施地の法令,指針等の基準の規定がより厳格な場合には,当該実施地の法令,指針等の基準の規定により研究が実施されていること.(一方,国際セッションで海外の研究を海外からの演者が発表する場合は適用されない)
2. 一方,「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」3)が実施地における法令,指針等の基準の規定より厳格で,この指針の規定により研究を実施することが困難な場合においては,当該実施地の法令,指針等の基準の規定により実施された研究であること.ただしこの場合でも,次に掲げる全ての事項が研究計画書に記載され,当該研究の実施について倫理審査委員会の意見を聴いて我が国の研究機関の長が許可していること.
① インフォームド・コンセントについて適切な措置が講じられる旨
② 研究の実施に伴って取得される個人情報等の保護について適切な措置が講じられる旨

IX. 用語の定義

本指針で使用されている用語の定義を示す.以下の説明は「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(令和3年3月23日)3)に沿っている.

1) 人を対象とする生命科学・医学系研究
人を対象として、次のア又はイを目的として実施される活動をいう。
ア 次の① 、② 、③ 又は④ を通じて、国民の健康の保持増進又は患者の傷病からの回復若しくは生活の質の向上に資する知識を得ること。
① 傷病の成因( 健康に関する様々な事象の頻度及び分布並びにそれらに影響を与える要因を含む。) の理解
② 病態の理解
③ 傷病の予防方法の改善又は有効性の検証
④ 医療における診断方法及び治療方法の改善又は有効性の検証
イ 人由来の試料・情報を用いて、ヒトゲノム及び遺伝子の構造又は機能並びに遺伝子の変異又は発現に関する知識を得ること。
2) 侵襲
研究目的で行われる、穿刺、切開、薬物投与、放射線照射、心的外傷に触れる質問等によって、研究対象者の身体又は精神に傷害又は負担が生じることをいう。侵襲のうち、研究対象者の身体又は精神に生じる傷害又は負担が小さいものを「軽微な侵襲」という。
3) 介入
研究目的で、人の健康に関する様々な事象に影響を与える要因(健康の保持増進につながる行動及び医療における傷病の予防、診断又は治療のための投薬、検査等を含む。)の有無又は程度を制御する行為(通常の診療を超える医療行為であって、研究目的で実施するものを含む。) をいう。
4) 人体から取得された試料
血液、体液、組織、細胞、排泄物及びこれらから抽出したDNA等、人の体の一部であって研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。)をいう。
5) 研究に用いられる情報
研究対象者の診断及び治療を通じて得られた傷病名、投薬内容、検査又は測定の結果等、人の健康に関する情報その他の情報であって研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。)をいう。
6) 試料・情報
人体から取得された試料及び研究に用いられる情報をいう。
7) 既存試料・情報
試料・情報のうち、次に掲げるいずれかに該当するものをいう。
① 研究計画書が作成されるまでに既に存在する試料・情報
② 研究計画書の作成以降に取得された試料・情報であって、取得の時点においては当該研究計画書の研究に用いられることを目的としていなかったもの
8) 遺伝情報
試料・情報を用いて実施される研究の過程を通じて得られ、又は既に試料・情報に付随している子孫に受け継がれ得る情報で、個人の遺伝的特徴及び体質を示すものをいう。
9) 研究対象者
次に掲げるいずれかに該当する者(死者を含む。)をいう。
① 研究を実施される者(研究を実施されることを求められた者を含む。)
② 研究に用いられることとなる既存試料・情報を取得された者なお、研究対象者のほかに代諾者等を含む場合は、「研究対象者等」という。
10) 研究機関
研究が実施される法人若しくは行政機関又は研究を実施する個人事業主をいう。ただし、試料・情報の保管、統計処理その他の研究に関する業務の一部についてのみ委託を受けて行われる場合を除く。
11) 共同研究機関
研究計画書に基づいて共同して研究が実施される研究機関(当該研究のために研究対象者から新たに試料・情報を取得し、他の研究機関に提供を行う研究機関を含む。)をいう。
12) 研究協力機関関
研究計画書に基づいて研究が実施される研究機関以外であって、当該研究のために研究対象者から新たに試料・情報を取得し(侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う試料の取得は除く。)、研究機関に提供のみを行う機関をいう。
13) 試料・情報の収集・提供を行う機関
研究機関のうち、試料・情報を研究対象者から取得し、又は他の機関から提供を受けて保管し、反復継続して他の研究機関に提供を行う業務(以下「収集・提供」という。)を実施するものをいう。
14) 多機関共同研究
一の研究計画書に基づき複数の研究機関において実施される研究をいう。
15) 研究者等
研究責任者その他の研究の実施(試料・情報の収集・提供を行う機関における業務の実施を含む。)に携わる者をいう。ただし、研究機関に所属する者以外であって、以下のいずれかに該当する者は除く。
① 新たに試料・情報を取得し、研究機関に提供のみを行う者
② 既存試料・情報の提供のみを行う者
③ 委託を受けて研究に関する業務の一部についてのみ従事する者
16) 研究責任者
研究の実施に携わるとともに、所属する研究機関において当該研究に係る業務を統括する者をいう。なお、以下において、多機関共同研究に係る場合、必要に応じて、研究責任者を研究代表者と読み替えることとする。
17) 研究代表者
多機関共同研究を実施する場合に、複数の研究機関の研究責任者を代表する研究責任者をいう。
18) 研究機関の長
研究が実施される法人の代表者若しくは行政機関の長又は研究を実施する個人事業主をいう。
19) 倫理審査委員会
研究の実施又は継続の適否その他研究に関し必要な事項について、倫理的及び科学的な観点から調査審議するために設置された合議制の機関をいう。
20) インフォームド・コンセント
研究対象者等が、実施又は継続されようとする研究に関して、当該研究の目的及び意義並びに方法、研究対象者に生じる負担、予測される結果(リスク及び利益を含む。)等について研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者から十分な説明を受け、それらを理解した上で自由意思に基づいて研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者に対し与える、当該研究(試料・情報の取扱いを含む。)を実施又は継続されることに関する同意をいう。
21) 代諾者
生存する研究対象者の意思及び利益を代弁できると考えられる者であって、当該研究対象者がインフォームド・コンセントを与える能力を欠くと客観的に判断される場合に、当該研究対象者の代わりに、研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者に対してインフォームド・コンセントを与えることができる者をいう。
22) 代諾者等
代諾者に加えて、研究対象者が死者である場合にインフォームド・コンセントを与えることができる者を含めたものをいう。
23) インフォームド・アセント
インフォームド・コンセントを与える能力を欠くと客観的に判断される研究対象者が、実施又は継続されようとする研究に関して、その理解力に応じた分かりやすい言葉で説明を受け、当該研究を実施又は継続されることを理解し、賛意を表することをいう。
24) 個人情報
生存する個人に関する情報であって、次に掲げるいずれかに該当するものをいう。
① 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。(26)②において同じ。)で作られる記録をいう。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)
② 個人識別符号が含まれるもの
25) 個人情報等
個人情報に加えて、個人に関する情報であって、死者について特定の個人を識別することができる情報を含めたものをいう。
26) 個人識別符号
次に掲げるいずれかに該当する文字、番号、記号その他の符号のうち、個人情報の保護に関する法律施行令(平成15年政令第507号)その他の法令に定めるものをいう。
① 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの
② 個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ、又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁的方式により記録された文字、番号、記号その他の符号であって、その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ、又は記載され、若しくは記録されることにより、特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの
27) 要配慮個人情報
本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要する記述等が含まれる個人情報をいう。
28) 匿名化
個人情報等について、特定の生存する個人又は死者を識別することができることとなる記述等(個人識別符号を含む。)の全部又は一部を削除すること(当該記述等の全部又は一部を当該個人又は死者と関わりのない記述等に置き換えることを含む。)をいう。
29) 対応表
匿名化された情報から、必要な場合に研究対象者を識別することができるよう、当該研究対象者と匿名化の際に置き換えられた記述等とを照合することができるようにする表その他これに類するものをいう。
30) 匿名加工情報
次に掲げる個人情報(個人情報保護法に規定する個人情報に限る。以下この(30)において同じ。)の区分に応じてそれぞれ次に定める措置を講じて特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元することができないようにしたもの(同法の規定の適用を受けるものに限る。)をいう。
① 24)①に該当する個人情報当該個人情報に含まれる記述等の一部を削除すること( 該一部の記述等を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。
② 24)②に該当する個人情報当該個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること(当該個人識別符号を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。
31) 非識別加工情報
次に掲げる個人情報(行政機関個人情報保護法又は独立行政法人等個人情報保護法の規定により非識別加工情報に係る加工の対象とされている個人情報に限る。以下この(31)において同じ。)の区分に応じてそれぞれ次に定める措置を講じて特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元することができないようにしたもの(行政機関個人情報保護法又は独立行政法人等個人情報保護法の規定の適用を受けるものに限る。)をいう。
① 24)①に該当する個人情報当該個人情報に含まれる記述等の一部を削除すること(当該一部の記述等を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。
② 24)②に該当する個人情報当該個人情報に含まれる個人識別符号の全部を削除すること(当該個人識別符号を復元することのできる規則性を有しない方法により他の記述等に置き換えることを含む。)。
32) 有害事象
実施された研究との因果関係の有無を問わず、研究対象者に生じた全ての好ましくない又は意図しない傷病若しくはその徴候(臨床検査値の異常を含む。)をいう。
33) 重篤な有害事象
有害事象のうち、次に掲げるいずれかに該当するものをいう。
① 死に至るもの
② 生命を脅かすもの
③ 治療のための入院又は入院期間の延長が必要となるもの
④ 永続的又は顕著な障害・機能不全に陥るもの
⑤ 子孫に先天異常を来すもの
34) 予測できない重篤な有害事象
重篤な有害事象のうち、研究計画書、インフォームド・コンセントの説明文書等において記載されていないもの又は記載されていてもその性質若しくは重症度が記載内容と一致しないものをいう。
35) モニタリング
研究が適正に行われることを確保するため、研究がどの程度進捗しているか並びにこの指針及び研究計画書に従って行われているかについて、研究責任者が指定した者に行わせる調査をいう。
36) 監査
研究結果の信頼性を確保するため、研究がこの指針及び研究計画書に従って行われたかについて、研究責任者が指定した者に行わせる調査をいう。
37) 遺伝カウンセリング
遺伝医学に関する知識及びカウンセリングの技法を用いて、研究対象者等又は研究対象者の血縁者に対して、対話と情報提供を繰り返しながら、遺伝性疾患をめぐり生じ得る医学的又は心理的諸問題の解消又は緩和を目指し、研究対象者等又は研究対象者の血縁者が今後の生活に向けて自らの意思で選択し、行動できるよう支援し、又は援助することをいう。

附則
1 本規則は2020年5月7日より施行する。

変更履歴  2021年9月6日
 

参考

1) 日本医師会ホームページ ヘルシンキ宣言
http://www.med.or.jp/wma/helsinki.html
2) 個人情報保護委員会ホームページ 個人情報保護法について
https://www.ppc.go.jp/index.html
3) 厚生労働省ホームページ 研究に関する指針について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/i-kenkyu/index.html
4) 厚生労働省ホームページ 再生医療について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisei_iryou/index.html
5) 厚生労働省ホームページ 臨床研究法について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000163417.html
6) 厚生労働省ホームページ 薬機法について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179749_00001.html
7) 文部科学省ホームページ 研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/06060904.htm
8) 文部科学省ホームページ ライフサイエンスにおける生命倫理に関する取り組み
http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/seimei_rinri.html
9) 文部科学省ホームページ ライフサイエンスにおける安全に関する取り組み
http://www.lifescience.mext.go.jp/bioethics/anzen.html
10) 厚生労働省ホームページ 高難度新規医療技術・未承認新規医療品等による医療
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000145803.html

 

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