内視鏡外科用語集 第2版

序:内視鏡外科用語集改訂ならびにWeb化に当たって

 内視鏡外科用語集第1版は山川達郎先生を委員長とする21名の日本内視鏡外科学会用語委員会委員の先生方のご尽力により、企画、承認からわずか3年にして1999年5月に発刊された。多岐に渡る専門領域の内視鏡外科に関連した用語を1. 手術手技用語、2. 手術器具用語、3. 手術所見記載に必要な用語、4. 手術診断に関する用語、5. 解剖用語の順に整理し、誤解されやすい用語や混乱のおそれのある用語、複数の訳語がある用語などについては詳細な註を施した用語集であった。しかし、もとより多領域の新しい手術を対象とする用語集であり、新しい手技、3D内視鏡やda Vinciを始めとする新しい機器の登場、さらには編集委員会で指摘された既存の用語の使用法の混乱など、徐々に改訂を望む声が上がってきた。この要望に応えるため、黒川良望教育委員長の下、2011年に用語集改訂委員会が新たに組織された。

 当初は新用語の追加と解説の補充を行うことを目的としたが、加速度的に進歩する光学映像技術や並走する手術手技の進歩を考えると、従来の書籍としての用語集の限界も指摘され、随時更新可能な用語集Web化の案が俎上に登った。ちょうどその頃、2007年に日本医学会医学用語辞典のWeb化がなされ、内視鏡外科用語集も一気にWeb化の方向に舵を切ることになった。用語集のWeb化に際しては、そのまま日本医学会医学用語辞典に反映できるものとすれば、今後本学会の日本医学会分科会用語委員会での作業を大幅に減じることができると考えた。日本医学会分科会用語委員会からも今後の他学会用語集改訂の範となって欲しいと歓迎と協力の申し出があった。しかし、方向は定まったが大きな問題が横たわっていた。日本医学会のそれは「辞典」であり、一つの日本語に対し複数の英語が対応し、逆に一つの英語に対し複数の日本語が対応する形であったが、我々の用語集では一つの日本語に対し一つの英語が対応し、主となる表記以外は解説に記載される形であった。さらに、多いものでは5層もの階層を持つ、分野別用語編纂の形となっており、辞典における用語の並びとは大きく異なっていたのである。こうした層構造を一旦壊し、「あいうえお」順、あるいは「アルファベット」順に並び替え、辞典の形態をとる作業は、数回に及ぶ丸1日の作業を要した。こうした作業への多領域にまたがる委員の招集は、決して容易ではなかった。

 今回の改訂においてもう一つの大きな変更は、解剖用語を外したことである。ほとんどの解剖用語は各科共通で、将来的に日本医学会医学用語辞典に連結できれば解決できること、各科が異なる名前で呼んでいる解剖用語のみを抽出することが困難なことの二つの理由による。また、改訂版はWeb化した「辞典」の形態をとるため、投稿論文等で問題となる解剖用語が抽出できれば、その都度註を加えて用語を追加することは容易である。一方で、第1版に記載された詳細な註は内視鏡外科用語集の宝であり、この註は第2版でももちろん踏襲した。註の必要な用語はまだまだあり、引き続き委員の先生方にその記載をお願いしていく予定である。また、日本医学会医学用語辞典と同じく、これらの註や用語の用法についての意見も投稿できるが、投稿された意見を管理するシステムの構築はまだこれからである。

 言葉は生きているが、Web化することによって用語集そのものも生き物となった。会員諸兄にはお気づきになられた点について、是非ともご投稿いただければ幸いである。本用語集がどのように育つかは、会員ならびに担当委員諸兄の双肩にかかっていると言っても過言ではない。

 最後に、今回の用語集改訂にあたり、日本内視鏡外科学会用語集改訂委員会委員の先生方のご尽力と、常にご指導いただいた山川達郎先生、ならびに北野正剛日本内視鏡外科学会前理事長、同学会役員各位のご理解とご協力に深く感謝の意を表したい。

日本内視鏡外科学会 用語集改訂委員会
幹事 寺地 敏郎